東京高等裁判所 昭和61年(ラ)116号 決定
記録によれば、抗告人が破産宣告を受けるに至った根本原因は、抗告人が昭和四七、四八年頃から競馬・競艇賭博に熱中し、これに要する資金をいわゆるサラ金業者から自己の返済能力を顧みずに借り受けたことにあり、借受総額は一時約三〇〇万円に達し、昭和五一年以降は競馬、競艇を慎むようになったが、累積した借受金の返済や高利率の利息の支払いのため新たな借入れをせざるを得ないという状態が続き、両親からの援助によって多少の事態の改善を見たものの、右援助にも限度があり、遂に自己破産の申立てをせざるを得なくなったものであることが認められ、控訴人の右行為は破産法三七五条一号に当たると認められるから、抗告人には同法三六六条の九第一号の免責不許可事由が存在するというべきである。<中略>
そこで次に、右免責不許可事由が存在してもなお情状により免責を許可すべきか否かについてみるに、たしかに、抗告人が既に総額において借受金を上回る金利を支払っているであろうことは容易に想像し得るところであり、また破産申立て前数年間は妻の協力も得て真摯に債務の弁済に努力してきたことは記録によって窺われないでもないが、支払われた金利が現在の債権者の利得になっているとは限らないこと、抗告人の経済的破綻が、根本的には競馬、競艇といったいわゆるギャンブルへの熱中がもたらした結果であることを考慮すると、なお抗告人に免責を許可することを相当とする事情があるとはいいがたく、記録を精査するも、他にこれを認めるに足りる資料はない。
そうすると、本件免責の申立てを不許可とした原決定は相当であって、本件抗告は理由がない。
(森 高橋 清水)